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November 2012

November 28, 2012

Boulangerie Sudoのシュトレン

Boulangerie Sudoのシュトレンが素晴らしかった。須藤さんのシュトレンは独立前のお店の時以来でしたがセンスと技術をあらためて感じました。

シュトレンはたくさん食べるものではないし、わたしは毎年、自分の好きな感じのものがひとつでもあれば大満足なんだけれど、これも好きなシュトレンの仲間入り。

Diary1211282


なんでもスペイン産のアーモンドに、そのおいしさの秘密のひとつがあるらしい。

パティシエの人たちがよく「スペイン産のアーモンド」というときのあのちょっと誇らしげな感じを、どこかで記憶していたものの、よく知らなかったわたしは、希少で高価でいいものなのかな、くらいに思っていましたが、どんなところが他の産地と違うのか?香りがどんなふうに違うのか。それはなぜ?と、須藤さんに質問をなげかけてみました。

「スペイン産のアーモンドは、好みにもよりますが、風味、香りともに世界ナンバーワンといわれるくらい香りがいいんです」

ほんとうに、あのシュトレンはアーモンドがアクセントになっていました。品種改良によって量産されたアーモンドとは違って、須藤さんが使われているスペイン産のそれは「地中海地方の気候と土壌に育まれ、自然の滋味に富んだアーモンド本来の豊かな風味が特徴で、甘味があり皮の渋みが少ない。ほのかな杏仁の香りが特徴です焼き菓子などシンプルなものほどその特徴が出やすいんです」

ただし原価は倍、とのこと。それを自己満足にならないようにどう生かすか。マジパンを餡のように包み込むとその素材の特徴は出やすいけれど、須藤さんは個人的な嗜好からあえて、それを生地の中に練り込み一体化させています。だから全体にしっとりと香り高くコクがある、のかもしれない。

まわりの、溶かしバターと砂糖が固まった部分とナッツがカリッホロッっとして危険な美味しさ。夜はワインと、朝はコーヒーと、毎日薄切り二枚ずつ、いただいています。

Diary1211281


いつもシュトレンをあまり好んで食べない夫も絶賛。早朝から現場に出る時、車で食べやすいように「パンにはさんでみて」と面白いリクエストをするので、今朝のお弁当はシュトレンサンド(そんなのあり?家庭でならあり、ということにしておきましょう)。シナモンレーズンと全粒粉が少しだけ入ったイングリッシュマフィンに挟んで渡しました。でも、どんな感じなんだろう。洋酒とバターのきいた芳醇な、ナッティでフルーティなメロンパン的食感?ごめんなさい。須藤さん(笑)

Boulangerie Sudo シュトレン販売開始

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November 25, 2012

パンと詩のある風景を巡って【3】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント
「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」
の全記録を、補足の引用とともに公開しています。【1】【2】に続く、最終回です。

33

●小山
ひとつ、詩を読んでいいですか。
友部正人といって、フォークシンガーで詩人の彼が歌のためでなく、詩集のために
書いた詩です。

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「パンの悲劇」 友部正人

どんなに腹が減ってても
パンの匂いはまず心にしみる
空っぽの胃袋を満たす前に
心の中の空想を満たす

街に漂うパンの匂いは
行ったこともない町を思い出させる
街に漂うパンの匂いは
迷子になった誰かの記憶

橋の下のフルート吹きが
日暮れの空に音符を飛ばす
焼きあがったばかりの黒パンが
ガラスの棚に積まれていく

パン屋の前を通りかかって
思わず空想を満たしたものが
アップルパイだと寝床で気づいて
その翌日走って買いに行く

パンの匂いに出会うたびに
空腹だと思っていた人が
本当は想いが空っぽだったということに気がついて
会いたかった人のことを思い出す

パンは人の空想を満たし
パンは人の空腹も満たす
汗だくになってパンを焼くことは
あらゆる空っぽへの反逆なのだ

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●MIHOKO
この詩。今回いろいろなパンの詩を、ミシマさんと小山さんに教えていただき
ましたが、これはきょう初めて読んで、いいなぁと思った詩でした。
「想いが空っぽだったということに気がついて」というところがいいですね。
お腹が空いていたのではなくて、心の中が淋しかったんですね。

29

さっき小山さんが、「あたりまえのようにしてあるということが見えなくなる
状態が僕らの日常で」とおっしゃいましたが、それで思い出したのですが、
昔、「あなたにとって幸福な朝食とは何ですか」というアンケートを取った
ときのことです。これは『日々のパン手帖』に書いたんですが、最も幸福なのは、
今、ここで、食べている瞬間に、幸福だと気がついている人だな、と思うんです。

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幸せな朝食

幸せな朝食とはどんな朝食ですか
というアンケートをとったことがある。
楽しみながら書かれたに違いない回答には
現在、過去、未来の幸せが混在していた。

懐かしい朝食の想い出話を読んでせつない気持になった。
料理人や小説家なら、二度と戻れない
素晴らしい過去の記憶を再現できるかもしれない。
憧れる朝食の情景を綴る人がいて、わたしもその夢を垣間見た。
未来は不確かだけれど、わたしはいつも夢を見ている。

最も心惹かれたのは、今ある幸せな朝食について、教えてくれたものだった。

結局、幸せなんてごくシンプルなこと。愛すべきことたちの存在に、
リアルタイムで気がついているかどうか、なのかもしれない。
朝の空気やコーヒーの香り、誰かの笑顔、ほどよく焼けた
トーストみたいに、ささやかなことたちに。

『日々のパン手帖』(メディアファクトリー)より
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14

●MIHOKO
とびきり幸せな過去があって、今一緒に食べるひとが不在なら、
その淋しさは、ひとしおだな。

●ミシマ
なんか幸せのそのあとに、「フラワーバーガー」がやってきたかなって思うんです。
だから人にパンを差し出したんだって。

●MIHOKO
ブローティガンは自殺してしまうんですよね。孤独で……?

●小山
アル中で鬱だったんですよね。『東京日記』という詩集もいいですよ。

●MIHOKO
いい詩集がたくさんありますね。皆さん、ぜひ、図書館などで読んでみてください。
そろそろ、時間でしょうか。
せっかくなので、何かもうひとつくらい朗読されますか。

02


●小山
僕がパンを書いた詩を読みましょうか。
これね、ちなみにまだ見本なんですけども、MIHOKOさんの写真がすごく素敵なんで、
詩集を作ってみようと思って。彼女の写真がまず先にあって、それに対して
その写真の説明ではなくて、インスピレーションで詩を書く、というのを続けて
やってみたんです。

これは水引草の写真につけた詩なんですが、パンが出てきます。
ちょうどこの詩を書いた時、京都大学の数学の教授がなんかすごいことを発見した
という新聞記事を読んだことが発端となっています。

17

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「雲の恋人」より  小山 伸二

世界中の数学者たちが
解けない難問と格闘している

空間への哲学的アプローチが変わるかもしれない

そんな新聞記事を食卓で眺めながら
トーストを齧る朝に

台所の窓のそとでは
水引草が小雨に揺れて
会えない恋人との空間を
コーヒーの香りが
流れていく

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34

●MIHOKO
ありがとうございました。

きょう、わたしがお話をし続けると思っていた方がいたら申しわけないんですが、
わたしの、中身は空……じゃないんですけど、自分自身が媒体だと思っていて、
いろいろ面白いことを知っている人や、いろいろな職人さんが知り合いにいます。
素敵な方たちばかりです。そういう方々の仕事を常に編集して書くという、
その人たちが普段見せていない素敵なところを伝えていきたいな、というのが
わたしの仕事のテーマのひとつです。

きょうは、ミシマさんと小山さんと、こんなふうにお話できたことが、とても
うれしかったです。ありがとうございました。

31

詩ではないんですが、わたしから最後にひとつご紹介したい小説があります。
もしかしたら皆さんご存じかもしれませんが、"A small,good thing"
(ささやかだけれど、役に立つこと)というレイモンド・カーヴァーの小説です。
村上春樹さんが翻訳をされていて、最も好きな短編小説のひとつとおっしゃって
います。

子どもの誕生日の日に、その子を交通事故で亡くしてしまう両親がいて、前から
パン屋さんにバースデーケーキを頼んでいるんですね。
アメリカではパン屋さんの売上の多くの部分をカラフルなバースデーケーキが
占めるといわれていますが、そういうのを注文していたんでしょうね。
でもその日、子供が事故にあって、親は動転しているから頼んだことを忘れて
しまって、パン屋さんは一所懸命に焼いたのに引き取りに来ない、無駄になった
ことに頭にきて、嫌がらせのように何度も電話をしてしまうんです。
奥さんも頭に来ていて。でも、事情を知ったときにお互いが謝り、パン屋さんは
言うんです。さっきの『硫黄島からの手紙』ではないですが、「あたしはただの
パン屋ですけど」って。

そう言って、焼きたてのシナモンロールを差し出すんですね。
両親はたぶん、自分たちがお腹がすいているかどうかもわからないくらい悲しみの
底にあるときに、差し出されたパンをどんどん、ただもくもくと食べるんですね。
そういうシーンで終るんだけれど、わたしはなにかというと、これがパン屋さんの
すごさだなと思うんです。

13

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「何か召し上がらなくちゃいけませんよ」とパン屋は言った。

「よかったら、あたしが焼いた温かいロールパンを食べて下さい。ちゃんと食べて、
頑張って生きていかなきゃならんのだから。こんなときには、物を食べることです。
それはささやかなことですが、助けになります」と彼は言った。

彼はオーヴンから出したばかりの、まだ砂糖が固まっていない温かいシナモン・
ロールを出した。彼はバターとバター・ナイフをテーブルの上に置いた。

(中略)

二人はロールパンを食べ、コーヒーを飲んだ。アンは突然空腹を感じた。
ロールパンは温かく、甘かった。彼女は三個食べた。パン屋はそれを見て喜んだ。
それから彼は話し始めた。彼らは注意深く耳を傾けた。
二人は疲れきって、深い苦悩の中にいたが、それでもパン屋がずっと胸の底に
かかえこんでいた言葉にじっと耳を傾けた。パン屋が孤独について、中年期に彼を
襲った疑いの念と無力感について語り始めたとき、二人は肯きながらその話を聞いた。

この歳までずっと子供も持たずに生きてくるというのがどれほど寂しいものか、
彼は二人に語った。オーヴンをいっぱいにしてオーヴンを空っぽにしてという、
ただそれだけを毎日繰り返すことが、どういうものかということを。パーティの
食事やらお祝いのケーキやらを作り続けるのがどういうものかということを。

(中略)

彼は世の中の役に立つ仕事をしているのだ。
彼はパン屋なのだ。

(中略)

「匂いを嗅いでみて下さい」とダーク・ローフをふたつに割りながらパン屋は言った。
「こいつはがっしりしているが、リッチなパンです」
二人はそのパンの匂いを嗅ぎ、パン屋にすすめられて、一口食べてみた。
「糖蜜とあら挽き麦の味がします」二人は彼の話に耳を傾けた。
二人は食べられる限りパンを食べた。彼らは黒パンを飲み込んだ。
蛍光灯の光の下にいると、それはまるで日の光のように感じられた。
彼らは夜明けまで語り続けた。
太陽の白っぽい光が窓の高みに射した。でも誰も席を立とうとは思わなかった。


『ささやかだけれど、役にたつこと』レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳 より

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<パンとあうsomething goodな料理メニュー>

トークセッションのあとは、ameen's ovenのBread+something goodを楽しみました。

事前に、思いつくままにメニューご提案させていただいていました。
たとえば、日本のホクホク系のカボチャのスープにショウガを利かして
カリカリのプレーンラスクなどを添えたものとか、ファラフェルとか、
ブリーやカマンベールにいちくるスティックを添えましょうとか、
リコッタチーズにフルーツ、ナッツをちりばめてハチミツがけして、
和栗のスコーンを甘栗のサイズに焼いて……とか。提案というよりリクエストです。
それに応えてくださったメニューは以下の通り。

トークといっしょで、盛りだくさん。心にしみじみと浸透していくような、
このタフでハードな日々を乗り越えていく身体をつくってくれそうな、
心のこもったパンと料理でした。

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●Bread
ビオミッシュ
パンプキントースト
いちくるスティック
ハードトースト
GO-BOコンプレ
キャロットライ
雑穀栗ごはんパン
キタノカオリ小麦のバゲット
ノルマンディライ

●+something good
九重かぼちゃのポタージュスープ ジンジャー風味 カリカリラスク添え
ひよこ豆となすのトマト煮込 赤味噌風味
ファラフェル
豆色々サラダ(丹波黒枝豆、金時豆、青大豆)
キャロットラペ オレンジ風味
ごぼうとプルーンの赤ワイン煮
吉田牧場のカマンベールチーズ
オリーブオイル+さんご塩
カラマノリオリーブ
にんじん葉のジェノベーゼ
ヴィーガン バーニャカウダ風
坊ちゃんかぼちゃ、レンコン、さつまいも、にんじん、トマト、なすのグリル
(干しシイタケのグリルソース)
吉田牧場のリコッタチーズ レインボーキウイと無花果
ナッツ(くるみとかぼちゃの種)のハチミツ漬け

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<bin ジャムと珈琲あるいはその他>

イベント終了後の打ち上げは、芦屋の「bin ジャムと珈琲あるいはその他」にて。
今回トークセッションをした二人の詩人、ミシマショウジさんと小山伸二さんの
あいだに、わたしは「+」として存在し、二人はこの日が初対面だったのでしたが、
言葉に力を持つ二人のこと、実際に対面する前からいくつかの詩を通じて深く
対面していたのでしょう。「bin ジャムと珈琲あるいはその他」にてもまた、
さまざまな詩の朗読などを交わしながら、話は次回のイベントの計画へと……。
なんて素敵なことでしょうか。

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<後日談>

東京へ帰ってきた後、ミシマさんから「こんな詩があるのを忘れていました」と
メッセージが送られてきました。2007年に「こねくりこなくり日誌」に書いていた
ことなのだそうです。

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並んだふたつの手、それは従順な生き物のように、
もしくはよくできたロボットのようにパン生地をつまみ、
折りたたんでいく、次から次へと決まった手順、決まった動作。 
「よくきちんと動くなぁ」
そーっと人の仕事を眺めるように感心しているのは僕であり、
やっぱりその手とつながっているのも僕なんだけど……

まだ誰も作業に来ない朝ひとり、忙しくも静かに働いていると、
そんな少し不思議な時間がやってくることがある。  

四方田犬彦さんが、こんな詩を書いている。

「パンのみにて生きる・4」 (『人生の乞食』四方田犬彦)

指には名前がない  
きみが捏ねるこのパンは  
炉の中で等しく膨らみ 
等しく焼かれ  
どのパンとも区別がつかない

胡桃を入れてみようか  
蜜を溶き混ぜてみようか  
心はさかしらに考える 
だが  
指は白い泥と期待を捏ねあわせるだけ

名づけられることの憂鬱  
形を定められることの悲しみ  
でも 
きみがこねるパンには記憶がない  
きみの忠実な指のように

誰かが明け方に口笛を吹きながら  
きみの焼いたパンを買ってゆく  
捏ねられて焼かれたパンと  
捏ねられて焼かれた泥は 
どこが違うというのか

焼きあげられたパンの見事さ  
名づけられもせず 
ただそこに置かれている  
その膨らみ 
その微かな焦げ目  
その香りたつばかりの沈黙


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職人の仕事というのは本来アノニマス、作者未詳のものであったのでは、
ということを考えました。そして、パンをつくる仕事も、あるいは
言葉をこうして書いていく仕事も、自分の想いとはべつのところで、
なにか、日々その務めを担当させていただいている、そんな気がして
くることがある。ミシマさん、わたしもそんな不思議な時間を感じる
ことがあるよ。これは次のイベントで朗読していただこう……。

あまりに素敵な詩だったので、小山さんにもコピーをお送りすると
「ちょっとしびれました。amazonで注文しちゃったよ!」

「……ですって。ミシマさん!」とそれをわたしはまたミシマさんに伝え……。
わたしたちの詩とパンの旅はこの後も、続いていくかもしれません。

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<おわりに>

このイベントにお越しくださり、ともに楽しんでくださった皆さまと
ミシマさん、小山さんに、そしておいしい料理を作り、サーヴしてくださった
ameen's ovenのスタッフの皆さまに、心より感謝申し上げます。

このイベントで出合ったパンと「何かいいもの」=「料理」「言葉」「詩」
あるいは「人」との出会いが、皆さまのこれからの、何かいいことのきっかけに
なりますように。

ありがとうございました。
いつか、またどこかで、お会いしましょう。


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November 24, 2012

パンと詩のある風景を巡って【2】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント
「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」
の全記録を、補足の引用とともに公開しています。続編です。

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●MIHOKO
ミシマさん、この店ってどんなところ?パン屋さんて何でしょうか。
ミシマさんはどんなパン屋さんでありたいと思うのでしょうか。
こんな感じで仕事していきたいという、ミシマさんの好きな詩がありましたよね。

●ミシマ
はい。ちょっとひとつ、詩があるんですけど、山尾三省っていう人で、
もう15年くらい前に亡くなっているんですが、屋久島で田舎暮らしをしている人
でした。60年代初めにインドにヒッピーみたいにして渡って、有機農法って
言葉もなかった頃に仲間と始めて、その流れが今、ポランとかの草分け的存在と
なっていて、そのあと屋久島に入っちゃったひとなんですけどね。

「夜明けのカフェオーレ」って詩です。何が好きってなにかよくわからない
んですけど、何かこんな感じでパンとかものづくりをしたいなぁという詩です。

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「夜明けのカフェ・オーレ」  山尾三省

フランスに行ったことがないから
本物のカフェ・オーレのことは知らない
今晩もとても寒く もうすぐ夜も明けるので
台所に行き
山羊の乳にインスタントコーヒーの粉をふりかけて 
カフェ・オーレを作った
とても熱い おいしいカフェ・オーレができた
山羊よありがとう
と思いながら ひとりでしみじみと飲んでいたら
眠っているはずの山羊が 山羊小屋で
ひと声 べえー と啼いた

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●MIHOKO
こんなふうに仕事したいって思っていらっしゃるんですか。

●ミシマ
本物とかオーガニックっとかここにあるような気がするんですよ。
それは何っってうまく言えないんですが、これがフランスのパンですよ
とか材料がいいからってことがやりたいわけじゃないなぁ。
そういうパンが作りたいわけじゃなくてなんかこういう、
山羊がべえーってなくようなそういうパンが焼きたいなって感じに
思い当たったんです。

●MIHOKO
そういうの、記事に書いていきたいなぁ。そういうことを多くの人に
知らせていきたいなぁってわたしは思うんです。
たぶん、オーガニックであるとか、何かこだわりの素材であるとか、
そういうトピックスが記事には必要と思われているかもしれない。
でもそうじゃないところ、言葉にならないところ、書きたいんです。
自分の中でこねくり、こなくりまわしているんですよ。

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●ミシマ
よく困る質問があるんですよね。こだわりは何ですか。って。

●MIHOKO
コンセプトは何ですか、って(笑)。

●ミシマ
一番困るのはあのぅ、、、どうしてパン屋になったんですかって。
それひとことで答えろって言われても難しいし、結局出来上がってきた
記事はべつにわたしが何をしゃべっても同じ文章で、だいたいあがって
くるんですよね。おきまりの文章があがってくる。

●MIHOKO
あぁ、何かそうなってしまう仕組みみたいなのがあるんでしょうね。
打破したいですね。

●ミシマ
期待します。

●MIHOKO
はい。
こだわりのパンといえば、小山さん、フランスに3年間住んでいらして、
さぞかしいろいろなおいしいパンを召しあがったんだと思うんですよ。
ポワラーヌとかいろいろなパンをご存じで三ツ星レストランもたくさん
ご存じなのに、パンに対するスタンスが……ね、面白い話ありましたね。
ピクニックの話。

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●小山
辻調のフランス校ってお菓子のコースもあって、そこでバゲットも焼いて
いるんですね。うちの職員たちは超一流の職人さんなので、村のパン屋さん
では買いたくない。まずくて仕方ないから本当は買いたくないんですよ。
でも村のパン屋さんはとても大事で、買わないと村の人たちに嫌われるので、
買ってあげないといけないんですね。

それから、ストックっていうスーパーもありました。
大手のメーカーが焼いているフランスパンが売られていて、それもまずい
んだけれど、その辺のフランス人はみんなそういうパンを食べて大きく
なっているわけですよね。

ようするに、日本人がみんな吉兆とか瓢亭に行って懐石料理を食べていない
ように、彼らはパンは村のパン屋に買いにいくものと思ってそういうパンを
食べている。こだわりパンなんて考えないし、ナショナルのパン焼き機なんて
持っている人は一人もいない。そんな場所である時ピクニックに誘われて
行ったんです。

フランス人のピクニックってどんなにおしゃれなんだろうと思っていたら、
バゲットをそのスーパーで買ってくるんだけれども、5人しかいないんですよ、
なのに20本くらいあったんです。あとはチーズとかワインとか、「えっ!」
みたいな感じで……。ひたすらバゲットを切って。チーズとあわせてどう、
というよりはパンだけムシャムシャ食べながらしゃべって、その時にやっぱり、
あぁ、これが僕らだったらお母さんが何はともあれおむすびを握る、みたいに
バゲットがある、ということだなぁと思いました。

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●MIHOKO
ね。ときどきこういう話を聞かないと、日本で、東京でパンの情報の最先端を
見ていたりすると世の中みんな「こだわりの」パン屋さんだけで出来上がって
いるような気がしてきちゃったりするんですね。
ああそうだよな。フランスって……そういうところもあるんだって、
おもしろいわけです。

●小山
フランスに行って懐かしいのはこういうクソまずいストックのパンとか、
駄菓子みたいなものです。だっておいしいものは日本にも入ってきているから。

●MIHOKO
「マズおいしい」っていうことですね。

●小山
うん、だから日本に住んでいたことのある外国人が、コンビニのおむすび
食べたいなってふっと思うみたいなことかな。

03

●MIHOKO
地に足のついたパンの食べかたをしたいし、できるならおいしいものと
組み合わせて食べたいとわたしは思っています。
いま、いろんなこだわりのパンが世の中にいっぱい溢れていておもしろい
んだけれど、パンはそもそも粉と酵母と水と塩だけのパンであって、何かと
組み合わせて食べることがいいんだってわたしはずっと書いてきているんです。
ただ、日本ではなかなかそれが売れないらしくて、やはり、日本のパンは何か
混じったパン、ameen's ovenにもありますね。カボチャのパンとかイチジクとか
クルミとか。何かが入ったパンのほうが、日本人は好きなんですね。

イタリア人の奥さんがいるイタリアンのシェフにインタビューした時に
面白かったのは、家でパンを食べる時、自分はレーズンやクルミ入りのパンを
よく食べ、奥さんはほとんどの場合がプレーンなパンを好んで食べると言う。
でも中華料理を食べに行くと自分は白いご飯におかずを食べたいと思うのに、
奥さんは炒飯を頼みたがると。米を主食としない国の人が混ぜご飯を好きな
ように、日本人もパンに対してそうなんだなと思ったんです。

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で、「MIHOKOさんはシンプルな食事パンを提唱しているけれど、
なかなかパン屋ともなるとそればかりは厳しいんですよ」とか、
「できるならそうしたいけれど、嗜好性の高いものしか売れない。
飽きられない商品開発に頭を痛めている」と言って毎月変ったパンを
苦しみながら産み出すパン屋さんの声も聞くわけです。

これはパンを買う人がもっと、自分でチーズでもスープでも合わせるといいもの
を考えて組み合わせて食べることができるようになったら、シンプルなパンでも
売れるようになるし日本のパン食文化はもっと豊かになるんじゃないかというんで、
Bread+something goodという運動をしてきたんです。

でも、どうなのでしょうか。最近は日本独自のパン食文化もいいものだと
思い始めています。この間も、辻調塾という辻調さんの主催している勉強会で
こういうお話をさせていただいた時に「それでもわたしはあんぱんが好き」という
方がおられて、なるほどなぁと思ったり、いまは日本の小麦で日本独自のパンを
つくろうとされる方も増えてきているし、それも日本のパン食文化が豊かになって
きているひとつのかたちなんだよなぁというふうに思い始めています。
12年くらいこんなことをしてきて……はい、実感として。

20

●小山
あの、たまたま料理の学校に勤めているということもあるので時々思うんですけど、
世界中で日本の職人さんほど外国の人に負けない職人になる民族はいないんです。
例えばイタリアでガラス工房に入ってそこにのめり込むとイタリア人顔負けない
くらいにガラス職人になっていって、当然イタリア語もできるようになって。

うちの学生も今まで1万人くらいがフランスの学校に留学しているんですけど、
ひとつでもシェフの言うことを理解できるように、研修に行ってもちゃんと
働けるようにと、真夜中までフランス語を勉強して、フランス料理を自分のものに
して日本に帰ってくる。
そんな卒業生がこの夙川のあたりにもたくさんいますけれどもね、こんなことって
外国人にはありえない。置き換えてみると、アメリカの、ある料理学校が過去30年
の間にアメリカ人の学生を1万人日本に送りこんで、彼らは日本語を懸命に勉強
して、なんてありえないでしょう。イタリア人でもフランス人でもありえない。
例外的な方は何人かはいらっしゃいますけどね。

16

というくらい、ぼくたち、この列島の人たちが、外国のものを学ぶ時のこのパワー、
エネルギーはすごいものがある。それこそ、パン職人もフランスのクープデュモンド
で優勝する職人がいたりドイツの職人も知らないようなことを知っている職人が
出てくる。これは何なんだろうなと思ったときにようするに、僕らはごはんと味噌汁
だねといいながら、でもどこかでパンも食べたいときに、ちゃんとパンを勉強する人
たちが同じ日本人でいる。

本屋さんや図書館に行けば、日本の文学の世界ほど、海外のありとあらゆる言語を
翻訳しようという研究者、翻訳家がいてこんなにも外国語の翻訳本のコーナーが
充実している国はないんです。

フランス人だって異国のものに出合うかたちで日本の浮世絵に出合って絵を描いて
いますよ。そういう異国のものに出合うのは、どの国でもあることだけれど、ただ、
この日本において異国に出合うときの、ムキになる出合い方が他の国のそれとは
違うんですね。

つまり、言葉とか主食ってものをね、どこの国の言葉にも影響されない言語を持ち、
どんなに洋食化されようとも絶対にご飯を捨てない僕たちがいて、フランス人の詩を、
日本人が翻訳したほうが素敵だっていうくらいに翻訳できる作家も持っているし、
フランスでもなかなか食べられないよねっていうようなバゲットを焼く職人を僕たちは
持っている。だからとても幸せな国に住んでいるんです。

38

●MIHOKO
そうですよね。ほんとに……!

小山さん、ミシマさんと共通にご存じだったパンの詩がありましたよね。ここらへんで
それを読んでいただけますか。

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The Flowerburgers

Baudelaire opened
up a hamburger stand
in San Francisco,
but he put flowers
between the buns.
People would come in
and say, "Give me a
hamburger with plenty
of onions on it."
Baudelaire would give
them a flowerburger
instead and the people
would say, "What kind
of a hamburger stand
is this?"

フラワーバーガー

ボードレールは
サンフランシスコに
ハンバーガー・スタンドを開いた。
そしてパンの間に
花をはさんだ。
人が店にやってきて
言った、「ハンバーガーを
一つ、タマネギを
たくさん入れて」
ボードレールはかわりに
フラワーバーガーを出し
人々は言ったものだ、「いったい
これはどういうたぐいの
ハンバーガー・スタンド
なんだ?」

「チャイナタウンからの葉書」
R. ブローティガン(池澤夏樹訳)


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01

●ミシマ
ブローティガンをもうひとつ読んでいいですか。
僕、ブローティガンについてそんなにピンときたことがなかったんですが
今回のイベントを準備するやりとりで、読み直してみたら、思ったことが
あって。彼の詩は短いんで、読みますね。

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In a Cafe

I watched a man in a cafe fold a slice of bread
as if he were folding a birth certificate or
looking at the photograph of a dead lover.

喫茶店で

喫茶店でぼくが見ているとある男が一切れのパンを
出生証明書を折りたたむように折り、死んだ愛人の
写真を見るように見ていた。

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●ミシマ
っていうこれだけの詩なんですけど、それでなんか、さっきの小山さんの
『硫黄島からの手紙』の映画の話で、パンが平和とか幸せの象徴っていうか、
『しあわせパン』って映画もありましたけどね、なんか、ブローティガンの
詩を読んで、その幸せがなくなったときっていうか、一緒に食べる人が
いなくなったときのことを彼はいっぱい書いているよなって思ったんです。

パンってある意味で幸せなんだけど、パンは家族で食べた、みんなで食べた
って記憶が誰にもあるものだから、それをひとりで食べるのが淋しいなって
いうか……。

そういうブローティガンの淋しさがあるのを思って、ああ、この人いいなって。
パンは分かち合うものですが、分かち合う人を失ったときのことを書いている。
家族一緒に食べたパンを今ひとりで食べている、そういう淋しい感じもあるん
だってことが今回の発見でした。

28


●MIHOKO
分かち合うひとがいなくなった時、その淋しさが際立つわけですよね。
仲間(COMPANY)と分かち合うカンパーニュを食べていたりすると。

●小山
なにかその、あたりまえのようにしてあるということが見えなくなる状態が
僕らの日常で、それが幸せだったりそうでもなかったりするわけですが、
それに気がつくのが、非日常の瞬間ですね。

<つづく>

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パンと詩のある風景を巡って【1】

2012年10月27日(土)14時~17時、夙川のameen's ovenにて開催されたイベント
「ことばの種、ふくらむパン そしてsomething good ~パンと詩のある風景を巡って」
の全記録を、補足の引用とともに以下に公開します。

10

<ameen's oven ミシマ ショウジによる案内文>

パンや食べ物のまわりには、たくさんの美味しい言葉が飛び交っています。美味しいパンは人をおしゃべりにもするし、丁寧に作られた食べ物は人を幸せにもします。それがパン屋やレストランが人をひきつける魅力のひとつではないでしょうか?パンのなまえ、店先にならんだパンのラベルにも、そんな秘密が隠されています。
今回はブレッド・ジャーナリストとして日々、AllAboutや雑誌などのメディアで活躍されているMIHOKOさんをお迎えして、パンや食べ物をめぐる言葉の魅力について語っていただきます。

また、今回はゲストとして、詩人であり食の世界にも造詣の深い小山伸二さんをお招きし、パンや食べ物を巡る詩や表現について、ともにトークしたいと思います。
もちろん言葉だけじゃなく、MIHOKOさんおすすめの"パンとあう + something good"なお料理と、この日のみの限定パンなどをお焼きして、皆さんと一緒に楽しみたいと思います。

秋の実り、自然の豊かさをたっぷりと楽しめる時期です。
どうぞこの機会に美味しいことばとパンを味わいにお越しください。

第一部・パンと詩を巡るおいしいトークセッション

第二部・パンとあうsomething goodなお料理を!

<出演者プロフィール>

■清水 美穂子

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Bread+something good(パンと何かいいもの)をテーマに情報サイトAll Aboutパン
ブログ Bread Journal、Facebookページ清水美穂子【Bread Journal】での執筆の他、TV、雑誌等のメディアで、おいしいパンとその向こう側にスポットをあて続ける。パンを楽しむ企画のコーディネート多数。
著書に 『日々のパン手帖 』『おいしいパン屋さんのつくりかた』

■小山 伸二

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1958年鹿児島生まれ。戌年A型乙女座。学校職員。詩人。
日本コーヒー文化学会常任理事。
第一詩集『ぼくたちは、どうして哲学するのだろうか。』(1998)、
第二詩集『雲の時代』(2007)いずれも書肆梓・刊。
詩のマイクロ出版社・書肆梓を主宰。
現在、東京・国立市在住。詩のワークショップ・ 福間塾に所属。

■ミシマ ショウジ

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20代は旅をして過ごす。
30歳を前にしてパンと出会い、「ビゴの店」にてパンの基礎を覚える。
神戸の震災を機に、長野県乗鞍高原の「ル・コパン」に移り、酵母を
使ったパンを石釜の薪で焼くという山の生活を数年過ごす。
関西に戻り、2004年、西宮市夙川に「ameen's oven」を開店。

<ここからトークセッション>

●ミシマ
MIHOKOさんをお迎えしてイベントをというのはもう何年も前から考えていたことで、やっと実現しました。
MIHOKOさんはameen's ovenを取り上げてもらった一番最初の方です。
あとは自己紹介をしてもらって、いいでしょうか。

●MIHOKO
はい。今日はお集まりいただいてありがとうございます。こういうイベントって初めてなのでちょっと緊張しておりますが、不思議ですね。ミシマさんとはもう8年のつきあいになりますが、数えたら数回くらいしかお会いしていないかもしれないのです。
どなたか読者の方が、すごく素敵なパン屋さんがありますよ、とメールをくださったのが最初のきっかけだったかな、と思っているんですが、それからもう8年も経ったんですね。

12年ほど前に、All Aboutの立ち上げの時、最初、300とか400のウェブサイトのリンク集を作ることになっていて、たくさんのパン屋さんのサイトを見る中で、ameen's ovenのホームページからは圧倒的に魅力的な言葉が迫ってきたんですね。
それでここはもう、行かなくちゃって。当時はなかなか東京を離れられなくて、でもここへは絶対に行かなくてはと思いました。

その言葉は、皆さんはameen's ovenのお客さまなのでご存じと思いますけれど、例えばパンやお菓子の名前にしても「黒米スティッキ」っていうのがあって、ブログで紹介しようと思うと、スティッキ、スティック、ステキ?って、なんかもうね、リズムが詩みたいになっていっちゃうんですよ。

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黒米スティキ!
ラベルにRice stick 黒米スティキ、と書いてある。

「黒米はお米の古代種で、とっても生命力の強い品種です。
その力強さをぎゅっと集めて、やき上げました。
しっかりゆっくりかんでね!」

自然食品店にある地味なお菓子のような風情だけれど
黒砂糖が入ってほの甘く、これはちょっと、かなり美味しい。

有機栽培の黒米入りではあるけれど、
国産小麦、酵母も入っているのでパンかな。

パン?とうかがうと、職人のミシマさんは
あれをオーブンに入れるとご飯を炊くときの香りがして
パン屋じゃない気分がするという。
どんな風につくるのだろう。

このスティキはステッキ、スティック、木の枝、棒などの意味がある。
そこにもしかしたら「すてき」も入っているに違いない。

Bread Journal(2004.11.5)より

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●MIHOKO
「いちくるバンズ」っていうのもあって、イチジクとクルミで「いちくるバンズ」なんですけど、いちくるがひらがなで、バンズがカタカナとか、なにかこう、チャーミングなバランスがあってね。

インターネット上のオンラインのパン屋さんていうのはパンの香りがしてこないんですよね。遠くに住む人がオンラインで何か買ってみようというときにクチコミのほかに何で判断するかといえば、それは書き言葉だと思うんですけれども、ミシマさんがその部分でも非常に優れていたから、当時は実店舗も持たず、小さなお店なのにAll Aboutのベストパンという人気投票でも毎年上位にランクインしていたんですね。それはパンがおいしいのはもちろんだけれど、そしてAll Aboutの読者の方とameen's ovenのお客さまが似た感覚を持っていたのかもしれないけれど、
圧倒的にミシマさんの言葉が魅力を放っていたからだと思っています。

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オンラインベーカリーという手段

ウェブ上に店をかまえるパン屋さんは、いつでもお客さんを迎え入れてくれる。
24時間365日オープン。大雪の朝でも、真夏の昼ひなかでも、雨のふる真夜中でも、そこにはおいしそうなパンが並んでいる。
お客さんはインターネットを使って、簡単にパンを買いに行くことができる。
たとえ何千キロ離れたところにいても。
そのかわり、オンラインベーカリーからはパンの香りがしてこない。
お客さんに笑顔を向けて言葉をかわす店員もいない。
だからそのぶん、パンのおいしさを伝える写真や文章が必要になってくる。
お客さんと誠実にコミュニケートすれば、実際の店舗よりずっと広く深く
自分のパンについて伝えることができる。

『おいしいパン屋さんのつくりかた』(ソフトバンククリエイティブ)より

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●MIHOKO
前に本で書いたことなんですけど、キャラウェイという香りの強い種子、スパイスが苦手だなと思っていたんですが、「船乗りが小脇に抱えるパン」ってミシマさんの説明があったんですよ。それで、食べてみたらこのパン好きだって、頭から食べちゃったりもして。

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言葉の持つイメージを大切にする

たとえば、フィンランドサワーライというしっとりとした個性の強いライ麦パンについて、
「北の海で働く漁師が船に乗る時に小脇にはさんでいくようなパン」と書いてある。
実際にナイフを入れると、わたしの苦手なアニスやキャラウェイが香った。苦手。
そうしたハーブが苦手と思うのは、良い出合いかたをしていなかったからかもしれない。
楽しいイメージを持ってしあわせな再会をすることで、苦手と思った味の記憶は上書きされる。
ひとは言葉も一緒に食すから。やさしい言葉の魔法。ひとくち食べると、それはもはや苦手なものではなくなっていた。

『おいしいパン屋さんのつくりかた』(ソフトバンククリエイティブ)より
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●MIHOKO
そんなところが好きで、8年間見てきて、店舗販売が始まって、今はここでカフェまで開いていて、いつも亀のような歩みで、ってミシマさんはおっしゃるんですけど、一歩一歩が確実で、素敵だなぁと思っています。

きょうはその、言葉とパンとを絡めたイベントなんですけど、ミシマさんが詩を書かれるパン屋さんであることは皆さんは知っていらっしゃると思います。一番最初にわたしが感動した詩があるので、ミシマさんに朗読していただいて今日はこのイベントを始めたいと思います。

それで、わたしの友人で詩人で、食関係の出版社の編集の仕事を経て、今は調理師学校の企画部というところにいらっしゃる小山さんにも、このトークセッションに加わっていただきたいと思ってお呼びしています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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「パンのふくらみの宇宙」  ミシマ ショウジ

そらに浮かぶ気球を想像してほしい、気球はパンだと。

それらはともにふたつの基本構造をもっている、皮膜とガスだ。

気球はヘリウムガスを満たして空に浮く、
パンは炭酸ガスをはらんで大きくふくらむ。

パン酵母はパン生地の糖分を食べて、
分解してアルコールと炭酸ガスを放出する。
炭酸ガスはパン生地に捉えられ閉じ込められて
パン全体をもちあげる。
酵母が活発に活動すればするほどガスは多くなり、
パンはふくらみ、やわらかい食感になる。
パン生地のなかで酵母菌たちは生殖活動をし、
ハッハッとガスを吐いているんだ。

そのハッハッのガスを閉じ込め抱えているのが、グルテンの膜。
小麦粉のタンパク質にはグルテニンとグリアジンという
兄弟が住んでいる、ここに水と時間を加えてよく捏ね上げると、
このふたりがからみあって織りあわさって、網の目状の膜をつくる、
これがグルテン。米にもソバにも、ライ麦粉にさえない小麦粉だけの得意技。
このグルテン膜がガスを大きく包みこんでいる。

活発に生きる酵母菌と彼らが出すガスをしっかりと抱きこみながらも
柔軟に伸びていく膜、ほら、それは君がふくらます風船ガムのようで、
気球のようで、大気を抱く星のようでしょう。

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●MIHOKO
ありがとうございます。
これ、小学生の男の子に、質問されたときに答えるために作ったのでしたっけ。

●ミシマ
はい。友達の子供に「なぜパンはふくらむの?」って聞かれたときに、
こんなふうに説明したんです。当時6つか7つだったと思うんだけど、もう13歳です。

最初通販からパン屋を始めているので、何か自分のことを発信して行かなきゃならない、というときに、パンの紹介をするだけじゃつまらないじゃないですか。ちょうどそのころブログが出てきたんですが、「こねくりこなくり日誌」を書いていた頃は手で捏ねて焼いていて、量も今とは桁違いでした。
それはそれで忙しかったんですけれど、このパンを、自分のやっていることを紹介していきたいなという想いがあったんですよ。でもどうも散文が苦手なんですね。しゃべるのも下手なんだけど、それでああいうふうに詩っぽくすると書けるなっていうのが最初です。

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●MIHOKO
この詩を読んで、ameen's ovenがとても好きになりました。
わたしはパンと詩は似ているなって思っていて、おいしいパンを食べると、
「どんな人が焼いているんだろう?」と、その人のことを知りたいと思うんですが、
詩もそうで、読んで素敵な詩だなと思うと、何度も何度も同じ詩を読んで、
書いた人のことを知りたいなぁと思う。ウフ!(笑)

で、まぁ、わたしは情報サイトや雑誌で仕事をしているので、新しいお店や
流行のパンについての情報を求められることが多くて、書きますけれど、
そもそもパンって本当はそういうものではなくて、もっと、なんていうか……
なに?何だろう?っていつも考えています。
最近は特集企画のときに、小山さんに相談に乗っていただくことが
よくあるんですけれども、食文化について造詣の深い方なので、
たまに目からウロコみたいな話をしてもらっています。
今日も期待していますよ。

●小山
どうも、皆さん初めまして。小山と申します。えー、なんでここにいるのか
いまだによくわかっていないのですけれども……

●MIHOKO
詩人だからですよ(笑)

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●小山
出身は鹿児島なんですけれども、東京の大学に行って柴田書店という食の出版社に入って、その時にはコーヒーの店やコーヒーを焼く職人さんの取材をしていたりしたのが、気がついたらミイラ取りがミイラになって、趣味でコーヒーの自家焙煎をしています。

で、ある時大阪のあべのにある辻調理師専門学校に勤めることになって、フランス校勤務になって家族と3年間フランスで暮らしたりもしました。

今から20年ほど前の大阪あべのはさびれていて、ああここで人生終わるのかと思ったとき辻静雄と出会って。この人たちがつくった1960年代の日本文化がすごいなって思って。
その時のわたしの上司が芦屋に住んでいて、神戸を見渡しながら、関西が戦前から持っていた素晴らしい文化がここにあるって話を聞いたりもしました。
きょうは夙川をしばらくぶりに歩いていろいろなことを懐かしく思い出しました。

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で、本題なんですけど、MIHOKOさんに出会った時に面白いなって思ったのは、レストラン業界のジャーナリストというのはたくさんお目にかかっているんですが、新しいタイプのジャーナリストがここにいるなって思ったんですね。

それは何かっていうと、ジャーナリストってあらゆるジャンルでそうなんですけれども、新しいこととか、人の知らないことを伝える、っていうのが仕事なんだけれど、実はそれは表面的な仕事で、本来はその読者が自分の中にしまいこんでしまっていた、あるいは一回も開けたことのないような蓋を開けるきっかけをつくるために、ジャーナリストはいろいろなところに旅をし、いろいろな人の代わりに取材をして話を聞き出して伝えるんです。

そういう意味で、本質的なジャーナリストっていうのがパンの業界にもいたんだなって思いました。
彼女は筋金入りのジャーナリストだし、ブレッドジャーナリストって名乗っていらっしゃるのは、正当な名称だなって思ってます。これだけ褒めとけばいいかな(笑)。

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僕は映画の話からしたいと思うんですけれども、クリント・イーストウッドの『硫黄島からの手紙』という映画です。嵐の二宮君がパン屋さんの役で出てくるんですね。

主人公の渡辺謙がアメリカで玉砕する時の総司令官で、彼に仕える二宮君に「君はいい軍人になれるよ」と声をかけると、「わたくしは軍人ではありません。ただのパン屋です」と答えるんですね。彼は戦争に駆り出される前は毎日毎日何の変哲もないパンを焼いていて行ったこともない硫黄島で戦わされていた時に、パン屋だってアイデンティティこそが彼を狂気の戦場で正気にひきとめてくれたと思うんです。

彼の言葉を聞いた渡辺謙がなんともいえない表情をするんですが、これが、まさにパンの持っているかけがえのない日常性が世界を震撼させるところに共振していく瞬間だと思ったんですね。

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今回、「言葉とパン」というお題で思ったのはこういうことです。
言葉、言語というものは、人類が数十万年の進化の中で、たんに伝達、コミュニケーションのための道具としてだけではなくて、プラスアルファの「何か」を伝える、効率的な伝達の機能を逸脱する「何か」が言葉に加わったときに、おそらく人類最初の詩みたいなものが生まれたと、言えるのではないでしょうか。

いっぽう、パン、食べ物ですが、どんな生物も生き延びるためには外部の有機物を摂取して生きていくわけ、それがパン、食べ物の本質でしょうが、でも言葉と同じようにある時に、生存とは関係ない部分で、パンはこんなふうに焼いたら美味いね、あの人の焼いたパンのほうがおいしいよねという、プラスアルファの何かに出合った瞬間に、後にぼくたちがそれを「文化」と名付けるような現象が起こったのではないでしょうか。

言葉とパンが出合う。
それをこの店でやってらっしゃるんだって、気付きました。

●MIHOKO
言葉や食のプラスアルファが、文化という現象になったんですね。
小山さん、ありがとうございます。

<つづく>

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November 19, 2012

第7回メープルスイーツコンテスト

第7回クインビーガーデンメープルスイーツコンテスト表彰式に出席しました。

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今年の応募総数は222作品(菓子部門99、パン部門123)過去最高だったそうです。


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菓子部門優勝
厚東宣洋さん(大阪あべの辻製菓専門学校)
「ロートンヌ デラブル メープルの秋」

かわいいルリジューズのかたちのシュークリーム。
キャラメルポワールとメープルの香りのクッキー生地。

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パン部門優勝
土屋敏朗さん(第一ホテル東京)の「Stollen『楓』」

メープルを使って伝統的なシュトレンを。
焼きたてを審査するため、コンテストでシュトレンという選択の
良しあしはわかりませんが、きっとこれはおいしい商品になるはずです。


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最優秀賞グランプリはパン部門から、
小野寛さん(スイーツ&ベーカリー ル・パン神戸北野)の「メープル・パピオン」

切株に魅せられた蝶。全粒粉の生地、メープルシロップを浸み込ませた
塩味のデニッシュ生地、甘酸っぱいリンゴ、表面はメープルシュガーを
練り込んだスコーン生地でトップをクイニーアマンのようにキャラメリゼ。
スイーツ&ベーカリー ル・パン神戸北野で販売予定だそうです。

小野寛さんはコンテスト初出場だそうで、日々の努力が報われましたと、
感極まっておられる様子に、こちらも感動、日々厨房の中で淡々と仕事
をされている素晴らしい職人さんに、もっとスポットを当てていきたいと
思った瞬間でした。

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パン部門審査員の小倉孝樹さん(ムッシュイワン)が
「作品にもっとパンらしさが欲しいけれどなかなか難しい」と
言っておられたことはいつもわたしも感じることです。
パンはパンらしくあるまま、メープルを生かした作品が評価されて
しかるべきではあるけれど、それじゃ何がパンらしいかというと、
こういう時、本当に難しい。
何はともあれ、「食べてみたい!」という魅力のあるもの。
これがコンテストでは一番いいのかなと思います。

常にパンの素材を究め続ける志賀勝栄さん(シニフィアンシニフィエ)は
「たとえばメープルシュガーの粒度は、細かいとあっさりし粗いと強くなる。
そんなふうにたくさん素材の勉強をして、自分を磨いてください」と受賞者に
エールを贈りました。

ケベック産のメープルの海外市場は一位がアメリカで二位が日本なのだそうです。
メープル風味、ではなくて本当のメープルを使ったパンやお菓子、わたしも大好きです。


クインビーガーデン公式サイト


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November 17, 2012

おいしいパンとパン屋さんの新情報

最近のAll Aboutの更新情報はFacebookページ清水美穂子【Bread Journal】にて
お知らせしています。

Facebookページのほうが拡散している手ごたえとリアクションが感じられますし
アップロードも簡単なので、日々の更新はFacebookページになっています。
最新情報をリアルタイムで、ご覧になりたい方はぜひそちらをご購読ください。

ただ、落ち付いて文章を書き、読んでいただくのはやはり、ブログが
適しているかなとも思っています。

Facebookをご覧にならない方もいらっしゃると思いますので
最近のAll Aboutの更新情報を、まとめてお伝えします。

004

All Aboutベストパン★2012、スタートしています。
ぜひ、今年一番好きだったパン屋さんを教えてくださいね。

読者が選ぶベストパン★2012投票開始

ニューオープンのお店情報はこちらです。

018

ラ・プルミエ・プゥッス【西荻窪】

012

NYの人気店サラベス、新宿に海外初出店

003

デ トゥット パンデュース【エキマルシェ大阪】

007

ル・ブーランジェ・ドゥ・モンジュ

そして人気店のこの季節ならではの情報はこちらです。

M1

2012 パングランプリ東京

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パン焼き小屋ツオップのクリスマスお取り寄せ

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November 14, 2012

MOFチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさんのセミナー

日本製粉東部技術センターにおいて行われたチーズセミナーに出席しました。
講師はポールボキューズのもとでメートルドテルを務めた後、MOFを取得、エルベ・モンスとリヨンにお店を構えるチーズ職人、エティエンヌ・ボワシーさん。

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国内のチーズ消費量は20年前に比べて1.8倍になっているそうです(なぜかパンは横ばいだそうですが)。
セミナーの内容はチーズの基礎知識とコンテ3種類のテイスティング。
まず、生産者の異なる3種類、次に熟成期間の異なる3種類とパンの相性を体験しました。

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標高、土壌、降水量、気温、植物によって、牛の食べるものが変わり、同じコンテでもわずかに違う風味を持つのです。その香りや味わいを表す言葉に目を見張りました。たとえばこんな分類になっています。

■LACTIQUE(乳製品)
フレッシュミルク、加熱したミルク、鍋底にこびりついたミルク、ヨーグルト、溶けたバターなど

■TORREFIE(焦げ)
ブリオッシュ、ベシャメルソース、柔らかいキャラメル、トースト、ブラックチョコレート、タバコなど

■FRUITE(果物)
アプリコット、レモン、生のヘーゼルナッツ、クルミ、ハチミツ、花など

■VEGETAL(野菜)
干し草、藁、青臭い、煮えたジャガイモ、玉ねぎ、セロリ、シャンピニオン、土など

■ANIMAL(動物)
動物臭、濡れた羊毛、皮、肉のブイヨンなど

■EPICE(スパイス)
スパイシー、ミント、胡椒、ナツメグ、バニラなど

■AUTRES(その他)
湿ったダンボール、石鹸、ゴム、アンモニアなど(あってはならない香り)

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一般的なコンテは干し草や草原の香りに焙煎したような香ばしさやバターの香り。
バターのような味わいの中に、ナッティーな木の実の香ばしさと甘味の余韻が残る。
との説明があります。

コンテが好きで、言葉にとても影響を受けやすいわたしは、頭の中が香りと味の
表現でいっぱいになりました。面白い、これは遊びのようです。

コンテはフランスで一番売れているチーズだそうです。
熟成期間6ヶ月、18ヶ月、24ヶ月では、ボワシーさんは18ヶ月が「コンテが持ちあわせている香りがすべて発揮されており、一番味わいがあっておいしい」と説明、6ヶ月は「ミルキーで優しい味わい、朝食用に」。24ヶ月は「香りが少なくなって余韻があり、かすかな苦みも出て濃い味わい。特別なときに」。

わたしはこういう食べ比べは何度かしたことがありますが、いつもアミノ酸がジャリッとするような熟成期間が長いものほどおいしいと思っていました。が、今回は一番フレッシュなのが甘味があってぽくぽくしていて気にいりました。

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合わせるパンとして、3種類のバゲットが用意されていました。日本製粉のジェニーで、老麺を用いてディレクト法で短時間発酵させたバゲットと、フランス小麦メルベイユの低温長時間発酵のバゲットと、メルベイユに石臼挽き粉グリストミルを40%加えたバゲット。わたしの好みはいつも後者のほうですが、今回はジェニーに感動。
パリっとして薄いクラストとあっさりとした生地が絶品のバゲットでした。これは焼きたてが命、儚くもすぐに失われてしまう美味に違いないけれど、すぐに食べきる時にはこんな軽やかなバゲットもいいなぁと思いました。

食べ合わせとしては、パンが重くなるほどにチーズも熟成したもの、と考えがちですが、ボワシーさんは類似ばかりではなく、コントラストの合わせ方も教えてくれました。つまり優しい味わいのものが、癖のあるものを和らげてくれるという考え方です。パンとチーズとのマリアージュを考える上でこのことは、わたしには新鮮でした。

他に、チーズにあわせるsomething goodは、こんなポイントで選ぶとよいようです。

目で見て心地よい色合いを添える
同じ地方の産物を添える
この味にこの味を足すと美味しいというものを添える
色調でコーディネートする
香りを合わせる(たとえばパイナップルの香りのボーフォールにパイナップルを添えるとか、パンにパイナップルジャムを塗って添えるとか)
正反対のものを合わせる(癖のつよいマンステールにアルザスのゲベルツトラミネールのフルーティな甘さ、あるいは塩分のきついロックフフォールに生のジューシーな洋梨の味とか)
そしてビールで洗っているウォッシュチーズにビール、あるいはセレアルのパンを添える

山羊にヘーゼルナッツ、羊にアーモンド、なんて決まりもあるようです。
聞いていくうちに本当に遊びのようで楽しくなってきます。

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セミナーの後はコンテ6種とブルーチーズ(フルムダンベール、ペルシレードボジョレー)、ラクレットとパンとワインの懇親会がありました。

わたしは、モンスのチーズとは、確かシニフィアンシニフィエで出合ったのが、最初だったと思います。どれもこれも美味しい。ブルーチーズだって慣れない人には青カビということが敬遠されがちだけれど、これを初めて食べたなら、ブルーチーズの美味しさを知ることでしょう。

パンとチーズのおいしさを再発見する、楽しいセミナーでした。

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November 08, 2012

日々

Bread Journalを楽しみにしてくださっている皆さん、2週間あまりお休みしてしまってごめんなさい。

10月末の、夙川のameen's ovenでのパンと詩のイベント、続く大阪の新しいパン屋さんの取材、パングランプリ東京の表彰式、新宿にオープンしたサラベス、おとりよせネットの審査会、年末のいくつかの企画等々、イベントや取材が続いて、いましばらくFacebookページのほうでUPすることが多くなるかもしれませんが、しばらくしたら、ここでもまた書いていきます。

清水美穂子【Bread Journal】

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