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March 2006

March 31, 2006

パンペルデュとメッセージ

失われたパン。
おいしいパンはまたべつのおいしさで生き返る。

メッセージをくださった皆さん、
どうもありがとうございました。

懐かしい、ひさしぶりのひとから、
おいしいパン屋さんで働くひとから、
パンが大好きなひとから、
いつも温かいメッセージを寄せてくださるひとから、
これから長いおつきあいになりそうなひとから。

どれほど励まされ、元気づけられたか。
いつも読んでくださって、どうもありがとうございます。

この日記はもうじき、まる3年になります。

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March 29, 2006

小さなあんぱん

着物を着ました。

しとやかな気分の日に思い出すのは
花嫁さんがこっそり食べる
小さなおむすびならぬ小さなあんぱん。

写真は、Zopfのさくらあんとこしあんのあんぱんです。
ふたつ食べたくなります。

タクシーの運転手さんと桜の話をしました。
毎年、この町で桜の咲く前に開催されてしまうお祭りを
ことしは例年より遅らせることにしたら、またしても
ちょうどいい時期を逃してしまったという話。
桜に嫌われたと運転手さんがいうその町の川べりは、
いまが桜の見頃でした。

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やさしい色のロゼ

一昨日の日記に書いた
お花見によさそうなオープンサンド。

豆頬髭犬、マフィンはすこし落ち着きました。
やむをえず小さな妹のグレイスから受けた
輸血がきいたのかもしれません。

今日、会いに行くと、わたしを見て
切ない声を出して立ち上がりました。
今日は、目にチカラが戻り、
足にもチカラが入っていました。
じっと抱きしめることができました。

深刻な病気を抱えているようですが
まだ詳細はわかりません。

供血犬探しに協力してくれた友人に
できることはすべてすべきです!
と言われ、胸がいっぱいになりました。

結局、一番弱いのはわたしのココロなのかも。
マフィンは思い悩んだりしないのです。

あたたかいメッセージをくださった皆さん
どうもありがとう。
感謝することの多いこの頃です。

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March 28, 2006

フォートナム・アンド・メイソン

フォートナム・アンド・メイソンの
ハードトーストをこんがり焼いて
バターで。

さらに何か合わせるとしたら
ビタースウィートなマーマレードが
一番、と思う。




今日のピックアップ: フォートナム・アンド・メイソン:約10種類の食パンを愉しむ

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桜の香り

昔、伊豆の旅館のひとに案内されて
大島桜のあるところを歩いたとき
それが桜餅の葉になることを聞いて
青葉に鼻を近づけたら
笑われてしまった。

わたしたちが知る桜の花や葉の
あの素敵な香りは
塩漬けによって生まれる
発酵の香りなのだそう。

発酵の香りは偉大だ。

ブレッド&サーカスの寺本さんは
ブラックライにあわせて
桜のピクルスをつくると言っておられた。

今日は、ブラックライを1/4に切って
白カビチーズのスライスと
ロゼのワインジェリーをのせて
ほんのりと甘く、いただいた。

お花見によさそう。

写真は、ブレッド&サーカスの
グラマラススコーン。
こちらはお花見より、山歩きかな。



今日のピックアップ: ブレッド&サーカス

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March 27, 2006

桜の空

入院しているマフィンの面会に行くと
水槽のようなICUからしっぽをふってくれた。

いま、マフィンは重篤な貧血状態にあるので
レバーを持って行くことになる。


設計事務所での打ち合わせが長びいて
夜になってしまった。
閉店間際の店を数軒まわって
鶏肉専門店でやっとレバーを手に入れる。

「白レバーもあるよ」

「そうじゃなくて、普通の、血のいっぱい入った・・・」
(別に鶏白レバーは血がすくないわけではないでしょうにね。)

「なに、貧血?」

「犬がひどい貧血なんです。あ・・すみません。犬に。」

「いいのいいの!これ食べたら大丈夫だよ
いいやつだからね、元気になるよ」

この肉屋さんにまた来よう。
今度は、バゲットのための、
鶏白レバーのムースをつくるために。


「今できることをただただやっていきましょう」
と、書いてくださったfさん。そのとおりですね。

チカラを送ってくださった皆さま、
ありがとうございました。


暮らしの歳時記のサイトの「桜前線」企画に参加しました。
今朝、撮りたての枝垂桜で。

今日のピックアップ: 暮らしの歳時記「桜前線」

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March 25, 2006

帰ってからお腹がすいてもいいようにと思ったのだ

今日、そういうタイトルの本のことを思い出した。
夕食の用意をしながら。

マフィンが、入院した。
彼女はしずかで、強い犬。
いま、輸血をうけてがんばっている。

病院で、先生の表情が変わって
次々指示を出しスタッフが動くのを
早送りの映画みたいだと思った
呆然として、ただ、立っていた。

先生が厳しい声で
泣いてる場合じゃないよ!
と言ったので我に返った。

いま、わたしは果てしなくhelplessで
やさしい言葉をいわれるより
叱られたほうが楽だ。

こんなことを書いて、ごめんなさい。

今日もいつものようにごはんをつくる。
しっかりするためにする、大切な仕事。

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職人の仕事

本人が何も言わなくても、
パンが語るのを感じる時がある。

わたしは先に感じて言葉にして
あとからお話を聞いて
その言葉がわたしのなかで落ち着く
その過程が好きだ。

今日のピックアップ: 「吟遊詩人」の記事を書きました。

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March 23, 2006

ワインジェリーとFallerのジャム

ヘッセン公爵のワインジェリーに出合ったのは
昨年のドイツパンの講習会のときだったか
ベルリーナラントブロートのようなパンに
クリームチーズと一緒にのせていただいたのが
とてもおいしかった。

フレッシュなチーズでも、白カビでもシェーブルでも。
いちごやオレンジに添えるのもいいかも。

Schlossgutのサイトをみるとパテやテリーヌ、ジビエ、
アイスクリームやクレープにも、とあった。


Fallerのさくらんぼのジャムは
大きな銅鍋で超高温蒸気を使って短時間で作られるという。

FOODEXで「五感をよろこばせるパンの愉しみ」について
話していた中で、わたしは「黒い森のタルティーヌ」を
紹介したが、そのあとで、ほんものの「黒い森」の写真が
かけてあるSchlossgutのブースでこのジャムの話を聞いたのだった。

果実味に溢れた濃密なさくらんぼのジャムは
白いパンのトーストよりも、ライ麦入りの田舎パンの
バタートーストに最高に良く合う。

今日のピックアップ: Schlossgutのオンラインショップ

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ルイユとバゲット

ルイユ。アイオリソース。ニンニクマヨネーズ。

籠に盛られたバゲットのクリスピーな薄切りを
ひとつつまんで、ルイユに浸し、
ブイヤベースに漬けて、口に運ぶ。

とびきりおいしい食べ方を、パン屋さんに教えてもらった。
料理と一緒に食べるパンをつくる人は、料理を知る人。

今日は会いたかった人たちと、昼間からワインをのんで、
おいしいパンと料理で、心地よく、時を忘れた。

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March 21, 2006

世界一のパン職人への道→2008クープ・デュ・モンド

2008年4月にパリの製パン製菓見本市ユーロパンにおいて開催される
Coupe du Monde de la Boulangerie(ベーカリー・ワールドカップ)
に出場する日本代表選手の国内予選が今秋から開始されます。

出場者の募集締め切りは8月31日です。

写真は代表選手の選出を担当している
日本フランスパン友の会のロゴ。


今日のピックアップ: 詳細はこちらです。

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March 20, 2006

いま、ここで、最高に。

先日書いた、おすすめの食パンの話に
読者の方からメッセージをいくつかいただきました。
自分のいつもの食パンについて。
気持ちが伝わったことが、うれしい。

さて今日は、いつもはないけれど
いま、ここにある食パンのお話です。

今まで食べた中で一番おいしい!
と感じてしまったら、ちょっと切なくなりました。
いつもの食パンにはできないものだから。

それは遠い国の大好きな町で最後に食べた何かのように
大切に、記憶のなかに永久保存されました。

世の中には、
ひとの心をこんなにもゆたかにする食べものを
寝る間も惜しんでひとつひとつ、大切に
焼き続ける人がいる。

それを知ることができてよかった。

感謝したり、自分を省みたり。
このパンを作る人のように生きてみたいと思ったり。

恋に落ちたみたいに。

このパンのことは、ここでは
これ以上書かないでおきます。

これはわたしの、今の恋なので
おすすめはできないのです。

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バゲットコンクール速報

3月7日に開催されたパリ市主催、第13回バゲットコンクールの結果速報をいただきました。

ラ トラデイション フランセーズ使用のパン屋さんが1位に輝いたそうです。
2位はお聞きしていないのですが、コンクールでいつも入賞する、良いパンを焼く職人だそう。
それにして、も3位〜6位すべてレトロドールというから、VIRON社の粉のすごさを感じます。

 1位:M.Cohier(コイエール氏) :トラディション
 2位:M.Gosselin(ゴスラン氏)
 3位:M.Grente(グラント氏)  :レトロドール
 4位:M.Doue(ドゥエ氏)     :レトロドール
 5位:M.Crotteau(クロット氏):レトロドール
 6位:M.Fiqueprond(フィクプロン氏):レトロドール

今日のピックアップ: VIRONの美味しさの秘密と小麦粉

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Madame HISADAの熟成チーズセミナー

FOODEXでチーズの熟成士、久田早苗さんのセミナーを受講しました。

HISADAといえば、昨年のベストパンを愉しむイベントでチーズをお願いした専門店。

納得のいくおいしいチーズを提供するために、
自分で熟成を管理できるようになりたい、と
日本ではまだめずらしい熟成士になられた久田早苗さん。
セミナーはとても興味深いものでした。

単に古くなることと熟成することは違うのです。
熟成は無殺菌乳からつくるチーズがよりよく変化していく過程です。

良い土地で良い動物が良い草を食べて
良い生産者のもとでつくられるチーズ。
そのあとを引き継ぐのが熟成士なのです。
よりよい状態で提供するために。

「生き物」を扱い、自分で納得のいくものを提供したいと頑張るところが
パン職人とどこか似ています。

日本では見慣れないチーズを中心に試食しましたので、ここに記しておきます。

カットしたチーズをのせた紙皿のふちに書かれた「1→」から順に、

ルーエル(ROUELLE) シェーブル。
ル ダロア(LE DALOIS) シェーブルの白カビ。山羊乳の真っ白さ。
ルブロション フェルミエ(REBLOCHON AOC FERMIER) パリで人気のセミハード(非加熱圧搾)。
クザン(LE CUISAN) ナッティなハード(加熱圧搾)。スイス生まれのサヴォア育ち。
クールダヴェンヌ(COEUR D'AVESNES) かわいいハート型のウォッシュチーズです。

最近チーズ屋さんも増えてきました。
おいしいパンとともに、いろいろなチーズを愉しんでみたいと思います。

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March 17, 2006

赤い実のチカラ

「みんなのぱんや」の取材で
いちごジャムとバターという
ごくあたりまえなために忘れてしまっていた
とりあわせのおいしさをあらためて、見つけた。

糖度50%くらいのいちごジャムとバターで
どんなデニッシュにもまけないおいしいトーストを。

そしてもうひとつ、いま風に
あっさりと楽しみたい日は
軽すぎるほどのフランボワーズ。
成城石井のは果実味たっぷり。

パワーブレックファストで
今日もがんばりましょう。


今日のピックアップ: みんなのぱんや

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FOODEX JAPAN 2006

FOODEX JAPAN 2006にて
日清製粉が開校した小麦粉学校で

「五感をよろこばせるパンの愉しみかた」
について話をしました。

ふだん、ここで書いているようなことを
おなかだけでなくて心をも満たす
十数皿のパン料理の紹介とともに。

おいしいパンがあればこんなにも簡単に
しあわせな一皿を作ることができる。
パン屋さんからもカフェやレストランからも
そういうことをもっと提案していただけたら。


じつはまだ
大勢の人の前で話をするのは
得意ではないのです。

でも、講演を終えてふと、わたしは
好きなことをさせていただいているなぁ
と感じたのです。

好きなこととは、書くことを含め
自分がいいなぁと思っていることを
伝えること、なのかもしれない。

普段のわたしの小さな活動、
「おいしいパンのあるしあわせな日常」
のための仕事を理解し
それを多くの人に伝えるように
ご依頼くださった関係者の方々に
心から感謝しています。

最後の写真は仕事後に撮った
ワインやチーズなど
+something goodにかかわる人たちとの
陽気な「お疲れさま!」のひととき。

今日のピックアップ: 幸せの穂を育てる「小麦粉教室」

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March 15, 2006

ハートのつくりかた

OPEN直前のパン屋さんから
おいしいパンをいただいたので
ハートをつくってみました。

GOOD LUCK!

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おすすめの食パン考

メールマガジンにも書いたけれど
おすすめの食パンをひとつあげる
というのはかなりむつかしい。

ひとつをとりあげて、もうひとつ別のを
とりあげない理由が、思い浮かばない。

でも、それはそれでいいのかもしれない。

おすすめをひとつ。
ひとつおいしいのを食べたら
そのひとの世界がいいほうに変わる
もっとおいしいのを知っていると思ったら
その違いについて考えてみるだろう。

違いについて考えることはとても大事。
自分にとっておいしいものとは何か考えてみること。
自分のものさしを持つこと。

おすすめの食パン。

日々、生活する場所の近くで職人が焼いていて、
難なく買うことができ
取りたててとくべつなことはないけれど
毎日食べたいプレーンなパンのことです。
それは、誰にとっても、きっと。

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March 13, 2006

美味しさの秘密

先週だったかテストベーキングのパンがあまりに美味しかったので、すぐに取材に出かけた。

慣れない窯で焼くパンがすごくいい状態ということはあまりないし、どんなひとが焼いたのかほとんど知らずに、しかも時間の経った夜遅くに食べた、見ためも普通のパンだったのに。

そういうときのわたしは
宝物をみつけたような
うれしい気持ちになる。

安定した美味しさには理由がある。
その理由を知らないときは
「理由」を「秘密」と言い換えてもいい。

美味しさの秘密を知るために
昨日は取材に出かけたのだった。

たとえば、普通のパンだけでなくて
ベーグルもマフィンもおいしい理由。
そこには確固たる理由があった。

記事に書きたいと思っています。

写真は、吟遊詩人のマフィン。
そして今日、トリミングしたて
ほやほやの豆頬髭犬、マフィン。




今日のピックアップ: 新しい記事も美味しさの秘密について書いています。

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吟遊詩人

先日OPENしたばかりのパン屋さん。
「吟遊詩人」の店舗をつくりました。

今日は取材でした。

わたしは職人さんの仕事を
いくら眺めていても飽きないかもしれない。

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March 11, 2006

パンのベッド

パン生地をひと晩、寝かすベッド。

横たわる生地はしずかに呼吸し
朝までゆったりと時間をかけて
ふくらむ。

先日の講習会で
パン屋さんたちが

それいいなぁ

と言っていた入れもの。

フランスでは
粉を買うともらえるのだとか。



今日のピックアップ: VIRONの美味しさの秘密

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March 10, 2006

雪割り菜種

昨晩、雪割り菜種という料理をおぼえた。
菜の花に長芋。今が旬。

それに子持ち鰈の煮付け
かぼちゃの煮物
おとなりの菜園のサラダなど

家のごはんはやっぱりおいしい。

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メッセージ

感想メッセージをいただいています。
いつも、どうもありがとうございます。

井上真由美さん、
わたしの文章が、いつもそんなふうに響いているのだとしたら、なんてうれしいことでしょう。
そういう井上さんの感想もまたわたしを勇気づけ、しっかりと前を向かせてくれるのです。
クラブ ド サントノーレのことは事務局がととのってからお知らせできることと思います。
イベントなどはメールマガジンでお伝えすることがありますので、
よろしければご登録ください。(月2回発行・無料)


shinoさん、
「みんなのぱんや」にかける西川さんの想い
お伝えできてよかったです。
VIRONにしても、格好だけではなく、本質を追求しているのです。
それを知ったとき、わたしはもっとたくさんの人にそのことを知ってもらいたいと思ったのです。
日本のパン市場を育てていこうとするさまざまな人たちを、これからも取材していきたいと思っています。

ゆえさん、
さまざまなパンがあって、選べる時代。
小確幸も、パンと同じくらいいろいろな形があるのだと思います。

ロコ・パンさん、
うれしいメッセージを、ありがとうございます。
いつも笑ってしまいます。とても元気がでました。

ronronさん、
ニシカワパンさんの地元なのですね。記事を書いてよかったです。
そのうち関東のパン好きさんたちも「みんなのぱんや」のルーツを
辿って加古川へ行くかもしれませんね。

たみーさん、
「おいしいパン屋さんの作り方」読んでくださって、ありがとうございます。
あの本には、時が流れ、店が変わっても、パンの種類が変わっても、
パン屋さんという仕事で、恒久的に大切と思うことを書きました。
そこからいいと思うものを感じてくださる人たちが、
おいしいパン屋さんを増やしていくのではないかと思っています。

そして
しなもんさん、パン屋さん、Hijiriさん、ソラパンさん
どうもありがとうございました。

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March 09, 2006

ameen's ovenの和のテイスト

ameen's ovenの酒種のパンは
黒豆やショウガ入り、
雑穀パンは黒豆、きび、緑豆などが
入って、ヌーベルジャポネーズ。

和惣菜とあわせたくなってきます。

濃厚なクリームのようなとろとろの豆腐を
お椀にいれて、パンの皿には
青菜と胡麻豆腐も添えてみました。

ごま味噌やふきのとうの味噌なども
試してみたいと思います。


今日のピックアップ: ameen's oven

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サク・ラ・サク

桜はまだ咲いていませんが
なんとなく、サク・ラ・サクという言葉がこぼれました。

先日の、ラ・トラディション・フランセーズの
講習会のレポートをまとめていて
バゲットの表相に話がおよび
そういえばクロワッサンの表相(表層でもいいでしょう)
も美しかったなぁと思ったのでした。

良質な小麦が採れる地域の200種類以上の小麦の中から
毎年選別され挽かれたものが粉になり、大切に運ばれ、
職人の手を経て、こんな芸術的な食べものになるのです。

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March 06, 2006

ささやかだけれど役に立つこと

先日の日記に書いた『バースデイ・ストーリーズ』。
そのなかのレイモンド・カーヴァーの『風呂』という短編を読んだ時、
「ちがう!」と思った。

それは、パン屋さんの出てくる話だったけれど
かつて読んで記憶していた話ではなかった。
だいじなところを全部そぎとってしまったようなショートバージョンだったから。

ロングバージョンは『ささやかだけれど役に立つこと』
(原題 ”A Small,Good Thing”)

訳者である村上春樹さんはそれをよく小確幸、という。
わたしは時々その言葉を借りて、この小説のように、パンにたとえる。

先日、サマンサさん(カフェごはんの川口さん)とのメールのやりとりのなかで
小確幸(”A Small,Good Thing”)の話になった。
サマンサさんの『東京カフェマニア』にも
A Small,Good Thingという言葉があった、と思った。

誰にでも自分のA Small,Good Thingがあるはず。

『ささやかだけれど役に立つこと』は
大切な人の喪失の悲しみに暮れる夫婦と孤独なパン屋さんのお話。

わたしは、断然、たいせつなところがちゃんと書いてある
ロングバージョンがすきです。

「何か召し上がらなくちゃいけませんよ。」とパン屋は言った。
「よかったら、あたしが焼いた温かいロールパンを食べてください。
ちゃんと食べて、頑張って生きていかなきゃならんのだから。
こんなときには、ものを食べることです。
それはささやかなことですが、助けになります。」

『ささやかだけれど役に立つこと』より

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フランスパンのバリエーション

わたしが自分でパンを買える年になり、
自分のキッチンを持って、そして今日に至る時代は日本のパンがぐんぐん美味しくなった時代だった。

「フランスパン」もさまざまな趣向をこらしたものが現れて、ナッツやフルーツの(そして豆や野菜の)使いようもじつにさまざまで、わたしたちの味覚を愉しませてくれる。

フランス人が「フランスにはこんなにいろいろ入ったパンはないよ」といい、ベテランの職人さんが「パン生地をごまかすように入れちゃ駄目だ」というのもよく耳にするけれど、
この時代の日本を生きてしまっているわたしは、イチジクやくるみや、オレンジピールやクランベリーやレーズンやぺカンナッツの入ったパンが結構すき。
おいしいパン屋さんにいけば、ベーシックでプレーンなパンのほかに、ひとつふたつ手を伸ばしてしまうのは、そういうフランスパンのバリエーションかもしれない。

写真はメゾンカイザーのゆずのパンとセーグルクランベリー。
ほのあまく、いい香り。

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March 04, 2006

『ALWAYS 三丁目の夕日』とみんなのぱんや

日本アカデミー賞の授賞を総なめにした
東京タワー建設当時の昭和30年代を描いた映画
『ALWAYS 三丁目の夕日』。

丸の内にOPENしたみんなのぱんやと
ほぼ同じ時代設定です。

その頃の日本のパンは、いまにくらべて
材料も設備もあまりよくなかったのだそうです。

それを補っていたのは職人の腕でした。
その頃の、しっかりと発酵させ熟成させる製法の
パンを再現して販売する店がみんなのぱんやです。

現代のパンの原材料の品質は、ずっとよくなり
設備も製法も進化してはいますが
簡単に一定の美味しさが出せることが何より大切にされ
あまりにも大量の新商品の発売や具材合わせの変化による
表面的なものづくりにだけに目が向けられている風潮がある。
時間をかけてひとつのものを究めたらどうだろう。

何年か前にそう思った西川隆博さんは
実家のニシカワ食品にあった昔の資料をもとに
VIRONに続いて、古き良き時代の良いところの再現を
こころみたのです。

今日のピックアップ: 「みんなのぱんや」

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雛祭りと美術館のカフェ

打ち合わせの合間に
根津美術館で開催されている雛祭り展に行った。

和菓子の虎屋さん所蔵の
雛人形と雛道具が展示されている。

毎年お雛様を一緒に飾ってきた母と妹とそこで会った。

何年も前に母がここの庭園内の
GAZEBOというカフェが掲載された
雑誌の切抜きをくれた。
そこに載っていたのはクロックムッシュだったか
ちょっと忘れてしまったけれど
いつかここでお茶をのみましょう
と約束していたのが、かなった日だった。

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March 03, 2006

紅茶とミルクガラスとベーグルサンド

先日いただいたボンヌ・ママンの
ミルクガラスに入ったジャムを撮影しよう、
と思っているうちに空になってしまった。

Ananas a la Noix de Coco

くちにしてみると、語感もかわいい
ココナツ入りパイナップルジャム。

クリームチーズとの相性がよさそうと思ったので
もうすぐOPENするパン屋さんのベーグルに
あわせてみたらとてもよかった。
パンも、チーズも、ジャムも、ひきたて合う。

こういうコーディネートを考えるのは
とても、楽しい。

今日のピックアップ: 紅茶とパンのお話、UPされました。

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March 01, 2006

フードフランス 記者発表会

フランスの若手シェフを日本で紹介するイベント「フードフランス」の記者発表会でフランス大使館へ。

パン関係ではないレセプションで、何人もの知った顔に出会い、いつのまにかたくさんの方とつながりができていたことに感謝しました。

この人とわたしは、どうして知り合いなのだろう。
というときに、もとを辿っていくと、たいていそこにはパンがあるのです。

アラン・デュカス氏にはBEのことなどたくさんお聞きしたいことがありましたが、ドキドキしてしまって「またお会いできて光栄です。」と握手するのがせいいっぱいでした。
でも年内には、BEの取材をしたいと思っています。

フードフランスとは
Food France(フランス食)とFou de France(フランスに夢中)
を、かけあわせた言葉。洒落ています。

このイベントは、アラン・デュカスがこよなく愛するテロワール(気候と風土)と伝統から生まれた料理の現在、リアルタイムのフランス料理を若手シェフたちが披露するものです。
この4月から12月まで、フランスのさまざまな地方から合計で5人のシェフが招かれ、グランドハイアット東京の「フレンチ キッチン ブラッセリー アンド バー」で1週間ずつの開催が予定されています。

今日のピックアップ: フードフランスオフィシャルサイト

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パンが好きということ

日記へのメッセージをいただいています。
内匠久子さん、ジャネットさん、Seiko Kさん、
ユリちゃん、橋本美帆さん、はるるさん、
野の花さん、さくらさん、茜さん、
いつも、どうもありがとうございます。

そして誕生日メッセージ、ありがとうございます。
いい時間をかさねていきたいと思います。

『おいしいパン屋さんのつくりかた』の感想メッセージ。
大変うれしく読みました。
ほんとうにどうもありがとうございます。

パンのストーリーや、職人さんの思想など、
ひとつのパンを通して人生の素敵な部分を知ること、
それを伝えること。

わたしがパンがすきというのは、そういうことです。

*

寒いのに、もう2月も終わりと思うからか、
いつものタルティーヌにもなにか春を感じます。



今日のピックアップ: おいしいパン屋さんのつくりかた

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